- クラシック/アルト・サックスLP
![]() |
|

France / LP / Mono / Selmer LPL2012-2013 / Rec 1959? / Pub 1959?
コーティングのフリップ・バック・ジャケット表裏擦れ少々、下部中央と背部中央に縁裂け、レーベルひげ無し、Aに薄くスタンプ、盤浅い擦れ、極小のスクラッチ少々、プツ音少々、フラット盤
Jacket 3 / Disc 3~3.5 / Sound 3~3.5
■マルセル・ミュールのサックス・ソロ・アルバム。
1846年にベルギーでサックスが誕生して以来今日に至るまで様々な名手が現れましたが、サックスという楽器のポテンシャルを様々な点で最も引き出した、クラシックの世界ではいまだに超える人のいない史上最高の演奏家マルセル・ミュール(1901-2001)。当店のコメントでこれまで散々"ミュールを思わせる..."というのがあったかと思いますが、この人です。20年代、ギャルド・レピュブリケーヌ楽団時代に、それまでの流儀だったストレートな発音にアメリカ由来のヴィブラートを混ぜクラシック・サックスの音を一変。SP盤を含め生涯に残した100曲に満たない録音は、そのみずみずしい音色、神がかったテクニックのにわかには信じられない演奏でサックス音楽の至宝と言えるものばかり。ミュールのLPは数えるほどしかありませんが、これはミュールも愛用していたサックスのメーカー、セルマーがリリースした大変珍しい、内容も文句無しに最高のアルバム。近代~20世紀作曲家7人の7作品を演奏した一枚で、新古典主義的な響きが濃厚。伴奏はピアノのみ。冒頭は米の作曲家ポール・クレストン(1901-1985)の3曲からなる『サクソフォーン・ソナタ』。クラシックということを忘れてしまいそうな親しみやすいメロディを、ミュールがめくるめくプレイで披露。続いて仏の女性作曲家ポール・モーリス(1910-1967)の、5曲からなる『プロヴァンスの風景』。ミュールの友人でもあった彼女が、ミュールに献呈した作なんだそう。ストラヴィンスキーを思い出させる輝くような楽章、印象派の深い淡さを感じさせる楽章など、本当感動的。本作のハイライトの一つ。B頭は、ミヨーの弟子でもあったピエール・マックス・デュボワ(1930-1995)の、3曲からなる『ディヴェルティメント』。ジャン・フランセ等を思わせる高雅なユーモアを感じさせる、これまたミュールの音色、流れるようなテクニック(並じゃありません)に惚れ惚れ。残りの4曲は単一楽章のナンバー。しかしこの4曲もスゴイ。グラナドスのピアノ曲『ゴイェスカス』をサックス室内楽にしたもの、仏のポール・ボノー(1918-1995)の、鳥のさえずりのようなサックス独奏曲「ワルツ形式のカプリース」、やはり仏のアンリ・トマジ(1901-1971)で、協奏曲「旋回」の室内楽Ver.、最後は仏のウジェーヌ・ボザ(1905-1991)のサックス独奏曲「カプリース」。試聴は『..ソナタ』から「Gaiement」、『..風景』から「Chanson Pour Ma Mie」。オリジナル・レーベルDGフラット盤、コーティングのフリップ・バック・ジャケット。